QC検定2級 出題範囲

品質管理の実践 2

公開日2021年1月4日  最終更新日 2021年10月17日

みなさんこんにちは、michiです。

前回の記事では、品質管理用語を学びました。

今回は 品質管理実践編2と称し、前回学びきれなかった品質管理に関する用語を学んでいきます。

キーワード:「5つの品質要素」「品質機能展開」「商品企画の七つ道具」

目次

①品質の概念

QC検定に出題される顧客から見た品質要素には次の5つがあります。

QC検定に頻出なので、是非覚えましょう!

  1. 魅力的品質:充足されると満足、不充足でも不満を感じない
  2. 一元的品質:充足されると満足、不充足であれば不満を感じる
  3. 当たり前品質:充足されるのは当たり前で、不充足であれば不満を感じる
  4. 無関心品質:充足・不充足いずれであっても、満足も不満も感じない
  5. 逆評価品質:充足されると不満、不充足だと満足を感じる

さて、聞きなれない言葉が出てきました。

充足」です。

「充足」とはWeblio辞書によると、「十分に補いを満たすこと。また、満ち足りること。」とあります。

つまり、充足している状態とは、製品やサービスが顧客の要求を満たしている状態のことを表します。

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さて、この品質要素の5つの概念ですが、狩野モデルと呼ばれる図で表されます。(下図)

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横軸に充足度、縦軸に(顧客の)満足度を表します。

例えば、一元的な品質では充足されると満足に、充足されていないと、不満になることを示します。

冒頭に箇条書きでまとめた”言葉”よりも、図で覚えた方が記憶に残りやすいかもしれません。

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以上がQC検定で出題される品質要素の5つの概念なのですが、つぎの二点を覚えておきましょう。

  1. 魅力的 ⇒一元的 ⇒当たり前
  2. 満足か不満かは顧客次第

どういうことか、説明していきます。

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①魅力的 ⇒一元的 ⇒当たり前 

製品・サービスに対する顧客の受け取り方や感じ方は変化していきます。

始めは魅力的だった品質が、一元的な品質となり、やがては当たり前の品質へと変化していきます。

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例えば、携帯電話を考えてみましょう。

携帯電話が出始めた初期は、「外出先で電話ができる!」と魅力的だったことでしょう。

それが「通話が鮮明にできる!」(※通話が鮮明なら満足、不鮮明なら不満)と一元的な品質となりました。

今では、「携帯電話なんだから通話できて当たり前、草」と当たり前品質となっています。

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最終的に当たり前品質となると、従来の製品やサービスでは利益を稼ぎにくくなります。

なぜなら、人は「価値>価格」の差が大きいほど、より欲しいと感じるためです。

当たり前となって価値が低くなった製品は、価格を下げることで「価値>価格」の差を広げようとします。

そうすると、売り上げが減るので利益は減り、売るためにさらに価格を下げ・・・と悪循環に陥ります。

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ではどうすればよいのか? というと、「常に新しい付加価値をつける」ことです。

携帯電話で言えば、小型化していきました。

小型が当たり前になれば、色々なアプリを入れられるようにする など、常に新しい価値の付加(進化)をしてきました。

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②満足か不満かは顧客次第

品質を顧客視点で見た時に売れる製品・サービスを提供するには、「常に新しい付加価値をつける」ことが重要であることはわかりました。

ところが、「顧客が満足するか不満を感じるかは人(顧客)次第」ということが、もうひとつのポイントになります。

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例えば、焼き肉の食べ放題プランを考えてみましょう。

食べ盛りの学生にとっては、安くたくさん食べられる食べ放題は魅力的です。

しかし、最高級のお肉をゆっくり味わって食べたいという人からは、お肉の質や制限時間があることから、不満を感じることでしょう。

(そもそもそんな人は焼き肉の食べ放題には行かない気もしますが・・・)

また、自転車や徒歩で来店した顧客にとっては、駐車場の質は無関心品質になりますが、自動車で来店した顧客にとっては、駐車できて当たり前の当たり前品質になりえます。

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このように、製品やサービス自体は同じ質であっても、製品やサービスの質は、顧客によって満足にも不満にもなってしまいます。

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②品質保証の考え方

品質保証の考え方では次の2点について説明します

①保証責任

日本では1995年7月より、製造物責任法(通称:PL法)が施行されました。

この法律によって、製造物の欠陥で使用者が被害を受けた場合、製造者は過失の有無にかかわらず、損害賠償の義務を負うことになりました。

製造物責任(Product Liablity)の予防に向けた活動を製造物責任予防PLP:Product Liability Prevention)といい、以下の2種類があります。

  • 製品安全(PS):製品欠陥を未然防止
  • 製造物責任防御(PLD):製品欠陥による損害を最小に抑える

PSとPLDは紛らわしいですが、SはSafty(安全)、DはDeffence(防御)と覚えましょう!

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②QC工程表

QC工程表とは、設計仕様を製品が満たしていることを確認するため、各工程での管理項目、管理方法について図表を使って明らかにしたものになります。

QC工程図、管理工程表、工程保証項目一覧表 などと呼ばれることもあります。

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QC工程表は、どの工程がどの品質に影響を与えるのか、製造プロセスと製品仕様の関係を表しています。

QC工程表を使うことで、製造工程の弱点の把握・改善を行い、トラブルの未然防止やトラブル発生時の迅速な原因究明が可能となります。

この時、工程のフローチャート(フロー図)がQC工程表にあると、工程全体の流れを把握しやすくなります。

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似た言葉に「QAネットワーク(保証の網)」があります。

QAネットワークは、縦軸に不具合・誤りを、横軸に工程を取ったマトリックス図法で表されます。

マトリックス図には、不具合の発生・流出防止策の内容や有効性が記載されています。

QAネットワークもQC工程表と同様に、不具合の発生防止や流出防止に有効な手段です。

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③品質機能展開(QFD)

品質機能展開QFD:Quality Function Deployment)は、製品に対する品質目標を実現するために、様々な変換及び展開を用いる方法論のことです。

代表的なものに、品質要求展開表品質特性展開表との二元表である品質表があります。

  • 要求品質展開表:要求品質を階層構造で表した展開表
  • 品質特性展開表:品質特性を階層構造で表した展開表
  • 二元表:二つの展開表を組み合わせ、対応関係を表した表

品質機能展開(QFD)では、顧客の要望などの要求品質を製品の品質特性で何が対応するか”翻訳”することを目的としています。

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例えば「耳が痛くならないマスク」という要求品質があったとします。

この要求品質に対する品質特性は、「耳にかけるゴム紐の強さ」や「紐の形状」、「紐の材質」などなど複数考えられます。

分析した要求品質に対し、どの品質特性で設計・開発を行うかは、製品の差別化軸で考えます。

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製品の差別化には、3つの軸「手軽軸、商品軸、密着軸」があり、製品やサービスの軸は一つに集中すべきという考え方です。

マスクの例で考えると、使い捨てマスク(手軽軸)、最高級の素材を使ったマスク(商品軸)、ひとりひとりオーダーメイドのマスク(密着軸)などが考えられます。

どの軸の製品・サービスを目指すかで、要求品質に対する答えの品質特性は変わります。

使い捨てマスクに最高級の素材を使って耳を傷めないマスクは、一見良さそうなアイデアに思えますが、商品軸がぶれてしまっています。

ストーリー形式で読みやすい本なので、是非「ドリルを売るには穴を売れ」読んでみてください。

少し話がそれてしまいました。話を戻します。

品質表を使って、要求品質に対し製品の品質特性を決める段階では、デザインレビュー(DR)(=設計審査)を行います。

デザインレビュー(DR)の目的は、設計しようとしている品質特性で品質目標を達成できるか否かを審査することです。

デザインレビュー(DR)の場では、設計部門のみならず品質保証、営業、製造部門など関連する部門の代表者を含めて審査することが重要になります。

図面上の設計は完璧だけど、現在の製造プロセスでは製造できない、顧客からの要求品質を満たせていない・・・などのトラブルを未然防止するために、デザインレビュー(DR)を行うのです。

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④商品企画の7つ道具

商品企画の7つ道具とは、以下の7つになります。

  1. インタビュー調査:仮説発見のため、定性的に調査する方法
  2. アンケート調査:仮説検証のため、定量的に調査する方法
  3. ポジショニング分析:製品の位置づけ、企画を方向付ける方法
  4. アイデア発想法:アイデアを効率的に発送する方法
  5. アイデア選択法:アイデアを評価し、客観的に選択する方法
  6. コンジョイント分析:最適なコンセプトを見つける方法
  7. 品質表:企画と設計のリンクを図る方法

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商品企画の7つ道具は、「調査、発想、最適化、リンク」の4つのステップで進みます。

調査では、①インタビュー調査、②アンケート調査、③ポジショニング分析で潜在ニーズの発見と確認を行います。

この潜在ニーズが曲者で、当事者を含め、購入者でも実は”本当のニーズ”を把握していないことがあります。(詳細はドリルを売るには穴を売れを読んでみてください。)

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さて、調査にて潜在ニーズを見つけることができました。

次は発想で、③アイデア発想法、④アイデア選択法で創造的コンセプトの開発を行います。

アイデアの方向性が決まったら、最適化⑥コンジョイント分析を行い、最適コンセプトの客観的決定を行います。

最後リンクでは、⑦品質表を使って開発設計へ要求品質とのリンクを図ります。

この一連の流れを知っていると、「ドリルを売るには穴を売れ」を読むときに理解度が向上します。

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近年のQC検定2級では、この商品企画の7つ道具が出題されています。

商品企画の7つ道具の説明を読むと、いわゆるマーケティング分野の手法になります。

なぜ、品質保証にマーケティングの知識が必要なのでしょうか?

(。´・ω・)?

マーケティングの知識が必要となった理由は、品質の概念にマーケットインが普及したことが背景にあると私は考えます。

プロダクトアウトでは、極端な話、顧客に耳を傾ける必要はありませんでした。

自分達が作れる”最高レベル”のものが売れるという考え方だったからです。

しかし、今や顧客の要望(要求品質)に応えられる品質特性の製品でなければ売れません。

つまり、”品質”の考え方に、顧客の要求品質との整合性が重要になったのです。

例えば、黒いマスクが欲しい人に、最高品質の白いマスクを売ろうとしても売れません。

要求品質を満たせていないからです。

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このようにプロダクトアウトからマーケットインに製品の目指す方向性が変わったことで、品質保証とマーケティングは別々に考えることができなくなりました。

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まとめ

①顧客視点の品質のには、5つの概念がある

②品質保証で「PLP,PS,PLD」とか「QC工程表、QAネットワーク」の言葉を覚えよう

③品質機能展開で、要求品質と品質特性の整合性をチェック!

④商品企画の7つ道具は、調査⇒発想⇒最適化⇒リンクの順で覚える

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以上でよく使われる品質用語のまとめを終わります。

まだまだ紹介しきれていない専門用語もあります。

過去問を解いたり、テキストを読んで覚えましょう!

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