公開日2021年1月12日 最終更新日 2021年9月12日
みなさんこんにちは、michi です。
それでは早速3級の問題を解いてみましょう!
今回のテーマも前回に引き続き、 相関係数 です。
問)サイコロAとサイコロBを同時に投げる試行を5回繰り返し、出た目を記録すると、下表のようになった。
このとき、サイコロAとサイコロBの出る目の相関係数を求めましょう。
\[\]
答え・解説は↓
解答)
※ドラッグで表示
- \(r\)= -0.72
\[\]
解説)
今回の問題は、測定データのみが与えられています。
このデータから相関係数を求めます。
相関係数 \(r\) は以下の式で表されます。
\[r=\frac{S_{xy}}{\sqrt{S_x}×\sqrt{S_y}}\]
つまり、偏差積和 \(S_{xy}\) とサイコロAの平方和 \(S_A\) 、サイコロBの平方和 \(S_B\) を求めれば、相関係数が求められます。
\[\]
平方和の詳細は記事「平方和の式の暗記法」をご参照ください。
今回は、この記事で紹介している計算方法を使って平方和を求めてみます。
\[ \sum x_i^2 - \frac{(\sum x_i)^2}{n}\]
\[\]
この計算をするために、問題で与えられた表をもう少し計算します。
まずサイコロAの平方和 \(S_A\) を求めてみましょう。
\(\sum A_i^2=77\)、\(\sum A_i = 17\) 、\(n=5\)なので次のように計算できます。
\[ S_A = \sum x_i^2 - \frac{(\sum x_i)^2}{n}\]
\[ =77 - \frac{17^2}{5} \]
\[=19.2\]
同様に、サイコロBの平方和 \(S_B\) を求めてみると、
\[ S_B = \sum x_i^2 - \frac{(\sum x_i)^2}{n}\]
\[ =35 - \frac{11^2}{5} \]
\[=10.8\]
\[\]
相関係数の計算で必要なのは、 \(\sqrt{S_A}\) と \(\sqrt{S_B}\) なので、
\[\sqrt{S_A} \qquad= \sqrt{19.2} \qquad≒4.382 \]
\[\sqrt{S_B} \qquad= \sqrt{10.8} \qquad≒3.286 \]
これで、相関係数を求めるのに必要な分母が計算できます。
\[\]
次に相関係数の分子に当たる、偏差積和 \(S_{xy}\) を求めます。
偏差積和の求め方は、次のいずれかの計算式で求められます。
\[S_{xy}=\displaystyle \sum (x_i-\bar{x})(y_i-\bar{y})\]
\[S_{xy}=\displaystyle \sum (x_i・y_i)-\frac{(\sum x_i)(\sum y_i)}{n}\]
今回は下の計算式を使ってみましょう。
すると計算表より、\(\sum (x_i・y_i) = 27\)、\((\sum x_i)(\sum y_i)\) = 17×11 = 187 が分かっているので、
\[S_{xy}=\displaystyle \sum (x_i・y_i)-\frac{(\sum x_i)(\sum y_i)}{n}\]
\[S_{xy}=27-\frac{11×17}{5}\]
\[=27-\frac{187}{5}\]
\[=27-37.4\]
\[=-10.4\]
\[\]
あれ?マイナスになってしまいました。
(;´・ω・)
でも心配しないでください。
偏差積和はマイナスになることもあります。
これで分子の偏差積和 \(S_{xy}\) も計算できました。
\[\]
それでは、長かったですが、相関係数 \(r\) を求めましょう。
\[r=\frac{S_{xy}}{\sqrt{S_x}×\sqrt{S_y}}\]
\[=\frac{-10.4}{4.382×3.286}\]
\[≒\frac{-10.4}{14.4}\]
\[≒-0.72\]
\[\]
今回の結果から、「サイコロAの出る目とサイコロBの出る目には負の相関がありそう」と考えられます。
イカサマのサイコロでしょうか?
もう少しデータ数を増やす必要があるかもしれませんね。
\[\]
注意ポイントは、「相関関係があるからと言って因果関係があるとは限らない」ことです。
因果関係がないということは、サイコロAの出る目を操作しても、サイコロBの出る目に影響を及ぼさない可能性があるということになります。
もしサイコロBがイカサマのサイコロでサイコロAが普通のサイコロなら、サイコロAを操作しても意味がありません。
\[\]
今回の問題は少し実践的な問題でした。
今回の内容の詳細な説明は、記事「相関関係1 相関係数とは」をご参照ください。
\[\]