QC検定 実践編

【実践 6】Excelでワイブル分布の作り方

公開日2021年10月16日  最終更新日 2021年10月31日

みなさんこんにちは、michiです。

前回の記事「【実践 5】OC曲線の考え方・作り方」に引き続き、今回はQC検定実践編として、Excelでワイブル分布の作り方について学んでいきます。

ワイブル分布の詳細は、記事「ワイブル分布 とは」をご参照ください。

この記事を読めば、QC検定1級の論述対策になる!…カモ

キーワード:「ワイブル分布確率紙」「検査の意味」

①データ表の作成

ワイブル分布の解析において、まずは取得したデータを順番に並べます。

例えば、 n=15 のサンプルで寿命試験をしたとします。(図1)

図1:寿命試験データ

サンプルはすべて同じ時間に壊れることはなく、壊れる時間に差があります。

寿命のばらつきです。

計算をするため、壊れた順番に並び変えます。(図2)

図2:データ整理後

\[\]

②累積故障頻度\(F(t(i))\) の計算

寿命試験のデータを整理できたら、累積故障頻度\(F(t(i))\)を計算します。

計算方法には、平均ランク法とメジアンランク法があります。

  • 平均ランク法:\(F(t(i))=\frac{i}{n+1}×100(\%)\)
  • メジアンランク法:\(F(t(i))=\frac{i-0.3}{n+0.4}×100(\%)\)

※\(i\) は「順番」になります。

データ数が30個以下の場合はメジアンランク法を、30個よりも多い場合は平均ランク法を使うと良いでしょう。

\[\]

今回はデータ数が30個以下なので、メジアンランク法で計算します。(図3)

計算式は、「=(“順番”-0.3)/(COUNT(“順番の範囲”)+0.4)」です。

図3:メジアンランク法計算式

計算式では、n数(サンプル数)を「COUNT関数」を使って求めています。

サンプル数によって数字が変わります。

この計算を累積故障頻度\(F(t(i))\) すべてに対して実行します。(図4)

図4:累積故障頻度\(F(t(i))\) 計算結果

図4を見ると、15番目(最後)の寿命試験が終わっても累積故障頻度\(F(t(i))\)は100%にはなっていません!

これは、ワイブル分布の計算では「試験データよりも寿命が長い製品もあるだろう」と仮定しているためです。

\[\]



③ワイブル分布縦軸 \(Y\) の計算

累積故障頻度\(F(t(i))\) を計算できたので、ワイブル分布確率紙の縦軸 \(Y\) を計算します。

\[Y=lnln\frac{1}{1-F(t(i))}\]

を計算します。(図5)

計算式は「=LN(LN(1/(1-“対象のF(t(i))”)))」です。

図5:縦軸Yの計算方法

\[\]

ほかのセルにも同様に計算します。(図6)

図6:縦軸Y 計算結果

累積故障頻度\(F(t(i))\) をパーセント表示に変更しておきました。

G列に次の計算用にセルを用意します。

\[\]

④散布図を描く

「③ワイブル分布縦軸 \(Y\) の計算」ができたら、散布図を描きます。

散布図は横軸を「時間」に、縦軸を「F(t)」で描きます。

\[\]

プロットした点が直線上にあれば大丈夫です。

「直線が途中で折れる」場合、二つ(以上)の故障モードが混在している可能性があります。

二つ(以上)の故障モードに層別して、それぞれの故障モード毎にパラメータを決めていきましょう。

\[\]

「直線ではなく、曲線が引ける」場合、適当な位置パラメータ\(\gamma\) を設定し、プロットした点が直線上に並ぶように調整します。

\[\]

具体的には「調整後時間」の列を追加し、任意の位置パラメータ\(\gamma\) の値だけ「時間」から引きます。

\[↓↓↓\]

\[\]



⑤y切片(絶対値)を計算する

次にy切片(絶対値)を計算します。

※以下、位置パラメータ\(\gamma\) の調整がないものとして進めます。

\[\]

y切片(絶対値)の計算が必要だなんて、記事「ワイブル分布 とは」では説明していません。

(# ゚Д゚)

しかし、エクセルではワイブル分布確率紙の計算をするときに便利なので、計算します。(図7)

計算式は「=ABS(INTERCEPT(“Yの範囲”,LN(“故障時間の範囲”)))」 となります。

図7:y 切片の計算

\[\]

⑥形状パラメータ\(m\) の計算

次に形状パラメータ\(m\) を計算します。(図8)

計算式は、「=SLOPE(“Yの範囲”,LN(“時間の範囲”))」です。

図8:形状パラメータ\(m\) の計算

\[\]

SLOPE関数で二つのパラメータの傾きを計算します。

縦軸は”Yの範囲”で、横軸は”時間の範囲”⇒”\(X=lnt\)” となります。

\[\]



⑦尺度パラメータ\(\eta\) の計算

次に尺度パラメータ\(\eta\) を計算します。(図9)

計算式は、「=EXP(“Y切片(絶対値)”/”形状パラメータ \(m\)”)」です。

図9:尺度パラメータ\(\eta\) の計算

\[\]

この計算は少しわかりづらいので、解説します。

そもそも尺度パラメータ\(\eta\) とは何かというと、「\(Y=0\) の時の\(t\) の値」です。

\(Y=0\) の時の直線との交点を\(X\) とします。

\(X=lnt\) で表せるので、\(exp(X)=t\) となります。

\[\]

このとき、「\(X=\)(“Y切片(絶対値)”/”形状パラメータ \(m\)”)」で表せます。

形状パラメータ\(m\) は、直線の傾きを表します。

言い換えると、\(X\) が「1」変化した時の高さが「\(m\)」です。

では、\(X\) した時の高さはどうなるのでしょうか?

(。´・ω・)?

答えは、「Y切片(絶対値)」だけ変化します。

この時のイメージ図は下のようになります。

尺度パラメータ\(\eta\) 計算のイメージ図

比で表すと、「\(1:m=X:Y\)」

つまり、「\(X=\frac{Y}{m}\)」 となるわけです。

\[\]

⑧予測値を計算する

形状パラメータ\(m\) と尺度パラメータ\(\eta\) を求められました。

後は予測値を計算すれば目標達成です。

図10:ここまでの計算 おさらい

\[\]

最初に累積故障確率を求めます。(図11)

計算式は、「=WEIBULL(“時間(予測値)”,”形状パラメータ \(m\)”,”尺度パラメータ\(\eta\)”,”TRUE”)」です。

図11:ワイブル分布計算式

\[\]

実際に予測時間を「780」として計算してみると、51.5% となります。(図12)

図12:780時間での計算例

このように、WEIBULL関数を使うことで、任意の時間経過後の全体の故障率を見積もることができます。

わかりやすくパーセント表示にしてみます。(図13)

図13:累積故障確率をパーセント表示

\[\]

・・・ (。´・ω・)?アレ?

左の表(実測データ)と比較すると、780時間の累積故障確率が違います!

この違いは、「実験データ+1を全体として考えた累積故障確率」と、「ワイブル分布から全体の分布を想定して見積もった累積故障確率」の違いになります。

\[\]

つぎに、累積故障確率から故障時間を見積もってみます。(図14)

計算式は、「=EXP(LN(LN(1/(1-“累積故障確率(予測値)”)))+”y切片(絶対値)”)/”形状パラメータ \(m\)”)」です。

図14:累積故障時間の計算

\[\]

この計算をすることで、「全体の〇%が故障するまでの時間」を見積もることができるようになります。

実際に累積故障確率50%、すなわち半分が故障する時間を計算すると、765.51時間となります。(図15)

図15:累積故障確率50%の計算例

\[\]

(;´・ω・)

先ほどの「時間ー累積故障確率」の関係と同様に、実測データと予測値は異なることに気をつけてください。

\[\]



まとめ

①データ表を作成する

②累積故障頻度\(F(t(i))\) を計算する

③ワイブル分布縦軸\(Y\) を計算する

④散布図を描いて直線上になるか確認する

⑤y切片(絶対値)を計算する

⑥形状パラメータ\(m\) を計算する

⑦尺度パラメータ\(\eta\) を計算する

⑧時間⇒累積故障確率、累積故障確率⇒時間 の予測値を計算する

\[\]

今回は長めの記事となってしましました。

ワイブル分布は製品の寿命予測によく使われますが、日常生活でも活かせる場面があるかもしれません。

例えば、お店の繁盛具合なんかも分析できるかもしれませんね。

是非いろいろ試してみてください!

⇒オススメ書籍はこちら

⇒サイトマップ

⇒ワイブル分布 とは

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です