公開日2021年1月12日 最終更新日 2021年9月12日
みなさんこんにちは、michi です。
それでは早速3級の問題を解いてみましょう!
今回のテーマは、 総合問題 です。
問)
みかん農家のAさんは、重さの規格上限が120g、下限が80gの範囲で収まるようにみかんを生産している。
最近みかんの規格外品が増えているように感じたため、調査をした。
すると、Aさんのみかんは重さの平均値が110g、標準偏差 \(σ\) が10 であることが分かった。
この時、次の確率を求めましょう。
- みかんが規格外品になる確率
- 規格外品の数が最小になるときの、みかんの重さの平均値
- ②の時の、変動係数
- ②の時の、みかんが規格外品になる確率
- ②の時に、工程能力指数 \(Cp\) を1.0にするためには、標準偏差 \(σ\) の値を何にすればよいか
なお、みかんの重さの分布は正規分布するとし、解答にあたっては、下の正規分布表を使いましょう。
\[\]
答え・解説は↓
解答
※ドラッグで表示
- 16.0%
- 100g
- 0.1
- 4.56%
- 6.67
\[\]
解説)
今回の問題は正規分布表の見方と工程能力指数の計算方法の両方を問う、複合問題になります。
少し難しいですが、割と出やすい組み合わせパターンなので、しっかりと復習しておきましょう。
\[\]
まず、みかんが規格から外れている確率を計算するために、みかんの分布を基準化(標準化)します。
基準化して得られた確率変数を、正規分布表と照らし合わせて確率を求めます。
さて、基準化の式は以下の通りでした。
\[Z= \frac{測定値 – 平均値}{ 標準偏差(=\sqrt{分散})} \]
この式に書かれている、「測定値」が今回の問題①では「規格値」が該当します。
つまり、みかんが任意の「規格値」よりも大きい値、または小さい値に分布する確率を求めるわけです。
\[\]
みかんが規格値よりも大きい値に分布するときの確率変数は、
\[Z= \frac{測定値 – 平均値}{ 標準偏差(=\sqrt{分散})} \]
\[Z= \frac{120 – 110}{10}=1.00 \]
みかんが規格値よりも小さい値に分布するときの確率変数は、
\[Z= \frac{測定値 – 平均値}{ 標準偏差(=\sqrt{分散})} \]
\[Z= \frac{80 – 110}{10}=-3.00 \]
(。´・ω・)?マイナス?
小さい値は、基準化するとマイナスになりました。
しかし、正規分布は左右対称な形の分布なので、ある値(\(-x\))よりも小さい確率は、ある値(\(+x\))よりも大きい確率と等しくなります。
つまり、確率変数の絶対値のみに着目すればいいわけです。
計算した確率変数 \(Z\) は、標準正規分布の確率変数 \(Kp\) に該当します。
\[\]
さて、正規分布表を見ると・・・
確率変数 \(Kp=1.0\) のときの確率は、 0.1587 ⇒ 15.87%
確率変数 \(Kp=3.0\) のときの確率は、 0.0013 ⇒ 0.13%
よって、求める確率は、 15.87 + 0.13 = 16.0% となります。
\[\]
次に、質問②では「規格外品の数が最小になるときの、みかんの重さの平均値」を問われています。
正規分布は、中心(平均値)に分布する確率が最大で、中心から離れるほど、分布する確率が下がっていく左右対称な分布です。
細かい証明はしませんが、「規格の中心値=平均値」が規格外品の数が最小になることは、感覚てきにも分かると思います。
つまり、
\[\frac{120-80}{2}=100\]
みかんの重さの平均が 100g になるときが、規格外品の数が最小になります。
\[\]
質問③では、質問②の時の変動係が求められています。
変動係数は以下の式で表されます。
\[ 変動係数(CV) = \frac{標準偏差}{平均値} \]
よって、②の時のみかんの重さの平均値は 100g でしたから、
\[ 変動係数(CV) = \frac{標準偏差}{平均値}=\frac{10}{100}=0.1 \]
\[\]
質問④では、質問②の時の「みかんが規格外品になる確率」を問われています。
②の時は、みかんの平均値が規格の中心にあることを踏まえると、規格よりも大きい確率と規格よりも小さい確率は、同じになることが分かります。
そのため、片側の確率を求め 2倍すると求める確率が得られます。
規格よりも大きい確率変数を求めると、
\[Z= \frac{規格値 – 平均値}{ 標準偏差(=\sqrt{分散})}=\frac{120-100}{10}=2.0 \]
先ほどと同様に正規分布表を見ると・・・
確率変数 \(Kp=2.0\) のときの確率は、 0.0228 ⇒ 2.28%
求める確率は、2.28% × 2 ⇒ 4.56%
\[\]
質問⑤では、②の時の工程能力指数が1.0の場合の規格値が問われています。
まず、②の時の工程能力指数を求めましょう。
すると、
\[工程能力指数(Cp) = \frac{上限規格 – 下限規格}{6 × 標準偏差(σ)}\]
\[工程能力指数(Cp) = \frac{120- 80}{6 × 10}=\frac{40}{60}=0.666…\]
\[\]
この時の工程能力指数\((Cp)\) を1.0 に上げようと考えています。
今回の問題では、上限規格と下限規格も変えるのではなく、標準偏差\((σ)\)を調整します。
よって、工程能力指数\((Cp)\) =1.0 とすると・・・
\[工程能力指数(Cp) = \frac{上限規格 – 下限規格}{6 × 標準偏差(σ)}\]
\[1.0= \frac{120 – 80}{6 × σ}\]
\[6×σ=40\]
\[σ=6.666… ≒ 6.67\]
\[\]
今回の問題も長かったですね。
こんな感じで、QC検定は3級と言えども知識を複合させて解く問題が出たりします。
\[\]
今回の問題が解ければ、正規分布表と工程能力指数は大丈夫でしょう!
╭( ・ㅂ・)و̑ グッ
今回の説明は以下の記事をご参照ください。
\[\]